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異物検知とは?仕組み・装置の種類・導入メリットからAI活用まで徹底解説

この記事はこんな人におすすめ
  • どの異物検知装置を選べばよいか分からない
  • 目視検査だけでは異物を見逃してしまう
  • 異物検知をAIや自動化で効率的に検査したい

食品や医薬品、樹脂・金属加工など、製造現場で避けられないのが異物混入。異物検知を自動化・AI化することで、見落としを防ぎつつ生産効率を高められます。

本記事では、金属検出機やX線検査機、色彩選別機など各装置の仕組みとメリットをわかりやすく紹介します。

目次

異物検知とは

異物検知とは、食品・製薬・化学・樹脂・金属加工などの製造現場で、製品に混入した異物を検出し、除去する技術や方法のことを指します。

従来は目視による検査が中心でしたが、近年は金属検出機やX線検査機、色彩選別機などの自動化装置や、AIを活用した高度な検知技術が導入され、検出精度の向上や生産ラインの省人化が進んでいます。

異物検知は、製品の品質保証やクレーム・リコール防止に直結する重要な工程であり、製造業における安全性と信頼性を支える基本技術です。

製造業における異物検知の重要性

製造業では、製品に異物が混入すると安全性や品質に深刻な影響を与えるため、異物検知は欠かせない工程です。異物は金属片やガラス片、プラスチック片、木片など多岐にわたり、微細なものほど目視での確認は困難です。

異物が混入した製品は、消費者や取引先の安全を脅かすだけでなく、リコールやクレームによる企業の信頼低下、法的リスク、さらには生産設備の故障や製造ラインの停止といった重大な問題につながります。

そのため、製造業では自動化された異物検知装置を導入することが一般的です。装置により微小な異物も検出可能になり、ヒューマンエラーを減らすとともに、生産ラインの効率化や品質の安定化を実現できます。異物検知を徹底することで、製品の安全性と信頼性を高め、企業の価値向上にも繋がります。

異物検知システムの導入メリット

製造現場では、品質不良やクレームの大きな原因となる「異物混入」を確実に防ぐことが求められています。従来は目視検査に頼ることが多かったものの、製品の多様化や生産スピードの向上により、安定した検査体制の確立がますます重要になっています。

ここでは、自動検査システムを導入することで得られる主なメリットを紹介します。

検査精度の向上・品質の安定化

自動化された異物検知装置は、微細な金属片やガラス片、プラスチック片なども安定して検出できます。装置は常に同じ条件で検査を行うため、作業者の経験や集中力に左右されることがなく、製品ごとの品質ばらつきを抑えることが可能です。

ヒューマンエラーの低減

異物混入は、人間の目では見落としやすい場合があります。自動検査を導入することで、見落としや判断ミスによるリスクを大幅に削減できます。結果として、リコールやクレームの発生を抑制し、企業の信頼性やブランド価値を守ることにも繋がります。

生産効率の向上

異物検知装置は製造ラインに直接組み込むことができ、目視検査よりも高速で正確に検査を行えます。これにより、生産ラインの停滞を防ぎ、効率的に製造を進めることが可能です。特に大量生産や連続ラインでは、自動化による検査の高速化が大きな効果を発揮します。

コスト削減

異物検知システムを導入することで、不良品や廃棄、リコールにかかるコストを削減できます。また、従来の人手による検査工程を自動化することで、人件費の削減や作業効率向上にもつながります。長期的に見ると、導入コスト以上のメリットを得られるケースが多くあります。

法規制・安全基準への対応

食品や医薬品、化学製品などでは、安全基準や法規制に従った異物検査が求められます。異物検知システムを導入することで、規制対応や品質保証体制を強化でき、安全で安心な製品を提供できます。

異物検知装置とは

異物検知装置とは、製品や部品の製造工程において、混入した異物を自動で検知する装置です。食品、製薬、化学、樹脂、金属加工などさまざまな製造業で使われ、製品の安全性と品質を守るために欠かせない設備です。目視では見つけにくい微小な異物も検出可能で、ヒューマンエラーの防止や生産効率の向上にもつながります。

検査できる異物の例
  • 金属片:針金や微細な金属片など
  • プラスチック片:包装材の破片や加工中の部品片
  • ガラス片:容器の破損による混入物
  • 石・砂:原材料由来の異物
  • 木片:原材料や包装材に由来する小片

異物検知装置の種類と仕組み

製造業で使用される異物検知装置は、目的や検出対象によってさまざまな種類があります。それぞれの装置は異なる原理で異物を検出し、製品の安全性と品質を確保します。代表的な装置とその仕組み・用途・導入メリットを解説します。

装置の種類仕組み(検出原理)得意な異物・検査苦手なこと
金属検出機磁気センサー金属全般(鉄・ステンレス・アルミ等)ガラス、石、プラスチック、アルミ包装内の検査
X線検査機X線の透過硬いもの(金属・ガラス・石・骨・硬質プラ)包装内部の検査虫、紙、髪の毛、薄いビニール
色彩選別機光学カメラ色が違うもの(変色した製品・カビ・異色異物)製品と同じ色の異物、製品内部の異物
赤外線検査装置赤外線の透過・反射成分が違うもの(フィルム噛み込み・軟質プラ)金属(反射してしまう)、水分の多いもの
AI外観検査装置画像解析 + AI学習「違和感」があるもの(複雑な形状・微細な汚れ・個体差)内部の異物(※X線と併用しない場合)

金属検出機

  • 仕組み
    金属検出機は、電磁誘導や交流磁界の原理を利用して、製品に混入した金属異物を検出します。鉄やステンレスなどの磁性金属だけでなく、アルミや銅などの非磁性金属も対象となります。装置内部のコイルが磁界を生成し、金属異物が通過すると磁界の変化を感知して検出します。
  • 用途
    食品、樹脂製品、化学製品などで、製造工程中に混入した金属片や針金状の異物を検知するために使用されます。
  • 導入メリット
    ライン速度を落とさず高精度で金属異物を検出・除去できます。目視では見落としやすい微細な金属片も検知可能で、品質の安定化やヒューマンエラーの削減に役立ちます。また、異物混入によるリコールやクレームのリスクを大幅に低減できます。

X線検査機

  • 仕組み
    X線検査機は、製品にX線を照射し、透過したX線の強度を検知することで異物の有無を判断します。金属だけでなく、ガラス、プラスチック、石、骨などさまざまな材質の異物を検出可能です。X線画像の濃淡から異物の位置や大きさも確認できます。
  • 用途
    食品や医薬品、包装材の内部検査に利用され、異物混入だけでなく、製品の欠けや空洞、充填量のばらつきなども検査できます。
  • 導入メリット
    非破壊で内部まで検査できるため、包装済み製品でも異物検知が可能です。金属検出機では検出できない非金属異物も検出できるため、製品の安全性を大幅に向上させます。自動排除機能を組み合わせれば、ライン効率を維持しつつ高精度な異物検知が可能です。

色彩選別機

  • 仕組み
    色彩選別機は、通常のカメラや光学センサーに加えて、マルチスペクトルカメラやハイパースペクトルカメラを用いて対象物を多波長で解析します。これにより、人の目では判別しにくい微妙な色差や素材の違いまで検出可能です。取得した色・光の情報を基に異常な外観や規格外の色を識別し、不良品や異物を自動で選別します。
  • 用途
    食品に混入した異物(異色の果実片、カビ、異物片)や、プラスチック部品の材料違い・異物混入の検出に広く利用されています。また製造工程で発生する色むら、汚れ、微細な外観変化のチェックにも適しています。
  • 導入メリット
    通常の目視では見落としやすい微細な色・光の差異まで高精度に検出できる点が大きなメリットです。高速処理によりライン速度を落とさず、安定した選別が行えるため、品質の均一化、不良品率の低減、検査工数の削減につながります。

かみこみ検査機

  • 仕組み
    かみこみ検査機は、包装や製品が製造工程で挟まったりズレたりしていないかを検出する装置です。主にX線や光学センサーを用いて、包装内部で製品が正しい位置に収まっているか、包装材に異物や異常が挟まっていないかを検査します。
  • 用途
    食品のトレー包装や袋詰め、医薬品のボトル・ブリスター包装、段ボール梱包内の製品確認など、包装状態の異常検知に広く使用されています。これにより、出荷前に不良品やかみこみを確実に排除できます。
  • 導入メリット
    包装不良や製品のかみこみによる出荷不良を未然に防止でき、品質管理の徹底とクレーム削減に貢献します。また、検査の自動化によりライン効率が向上し、作業者の負担軽減やヒューマンエラーの抑制にもつながります。

赤外線検査装置

  • 仕組み
    赤外線検査装置は、製品や包装材に赤外線を照射し、透過や反射の違いを検知して異物や欠陥を見つける装置です。材料ごとに赤外線の透過特性や反射特性が異なることを利用し、目視では確認しにくい内部の異常や混入物も検出できます。
  • 用途
    食品、樹脂製品、包装材の異物検知や密封状態の確認、成分の均一性チェックなどに幅広く活用されています。特に、非破壊での品質検査が必要な製品や、外観だけでは判断が難しい場合に有効です。
  • 導入メリット
    非接触で検査できるため、製品や包装を傷つけずに検査可能です。高速処理が可能でラインに組み込みやすく、効率的な生産管理や品質の安定化に寄与します。また、従来の目視検査では見逃されやすい微細な異物や欠陥も自動で検出できる点が大きなメリットです。

AIを活用した異物検知

AI技術を搭載した異物検知装置は、従来の目視やセンサーだけでは見逃しやすかった微細な異物や複雑な形状も高精度で検出できます。

金属検出機やX線検査機、カメラによる外観検査装置などは、AIがなくても一定の検査は可能です。しかし、しきい値やルールだけでは対応しきれない「微妙な色の違い」や「形のばらつき」を見分けるのは得意ではありません。そこで、画像解析用のAI(ディープラーニング/機械学習)を組み合わせることで、人の目に近い、あるいはそれ以上の判別を自動化できます。

また、AIは単独で動作するのではなく、センサーや検査装置と組み合わせて使用されます。製品ごとの個体差や色・形のばらつきを学習することで、従来のルールベース検査では見逃されやすかった微妙な異常も識別でき、誤検出を減らすとともに、ライン速度を落とさずに安全性と品質の安定化を実現します。

AI異物検知の仕組み

AI異物検知の仕組みは、カメラやセンサーで取得した画像・データを機械学習やディープラーニングで解析することにあります。色、形、サイズ、質感などの特徴を学習したAIは、正常品と異物を瞬時に識別します。

例えば、乾物の色や形が微妙に異なる場合や、包装内部の小さな異物も見逃しません。この仕組みにより、従来のルールベース検査では難しかった高精度検出が可能となり、製造ラインの品質管理をより強化できます。

AIを活用した異物検知では、主に次のような手順でシステムを構築します。

  1. カメラやX線などで製品の画像データを取得する
  2. 正常な製品(良品)の画像、または良品と不良品の画像を多数準備する
  3. 画像データをAI(ディープラーニングモデル)に学習させる
  4. 学習結果にもとづき、ライン上の製品画像をリアルタイムに判定する

AIは、色や明るさ、形状、表面の模様など、人の目では直感的にしか捉えられない特徴を数値として学習します。その結果、「少しだけ色がくすんでいる」「わずかに欠けている」といった微妙な違いも自動で判断できるようになります。

AI異物検知の活用シーンとメリット

特に、次のようなケースでAI異物検知が効果を発揮します。

  • 毛髪や虫、プラスチック片など、非金属異物の検査を強化したい場合
  • 色や模様、形状のばらつきが大きく、ルールベースのしきい値設定が難しい外観検査
  • 多品種少量生産で、製品ごとに検査条件を細かく作り込むのが大きな負担になっている場合
  • 「なんとなくおかしい」と人が感覚でチェックしていた基準を、客観的な判定に置き換えたい場合

AIは一度学習して終わりではなく、運用中に新たな不良画像や現場の知見を取り込むことで、少しずつ精度を高めていける点もメリットです。

導入事例

製造現場では、異物混入や包装不良のリスクを未然に防ぐことが重要です。さまざまな業界で実際に導入された事例を紹介し、どのように品質管理や生産効率の向上に役立っているかを具体的にご覧いただきます。

食品製造ラインでのAI搭載異物検知

乾物や加工食品の製造ラインに、X線検査機とAI画像解析システムを導入しました。従来の検査では見逃しやすかった微細な異物や複雑な形状も、AIが製品の形状や密度、色や欠けの違いを学習して自動で判定します。これにより、微小な異物や形状のばらつきも確実に検出でき、製品の安全性と品質が安定しました。

さらに、ライン速度を落とすことなく検査できるため、生産効率も向上しています。食品業界では、異物混入が消費者の安全に直結するため、このような高精度な検査装置の導入は特に重要です。

樹脂部品製造における金属検出機導入

自動車部品や電子機器向けの樹脂部品製造ラインに、金属検出機を設置しました。成形金型や工具の摩耗によって微細な金属片が混入するリスクを、リアルタイムで検出できます。金属検出機はライン速度を落とすことなく高精度で金属片を排除できるため、製品の品質を安定させるとともに、成形機や金型へのダメージも防止します。

また、従来の目視や抜き取り検査に比べ、自動化により作業者の負担を軽減し、ヒューマンエラーを抑制する効果もあります。

化学製品の包装検査における色彩選別機導入

製薬や健康食品の製造ラインでは、錠剤やカプセルの形状、色、印字のずれや欠けが品質に直結します。従来の色彩選別機でも異常製品の除去は可能ですが、AIを搭載することで、より微細な色差や印字パターンの違いも高精度で判定できるようになります。

AIは製品ごとの個体差や光の影響による微妙な色のばらつき、カプセルの形状の差異などを学習し、正常品と異常品を瞬時に識別します。たとえば、白い錠剤のわずかな欠けや変色、印字のかすれやずれも検出可能です。これにより、目視では見逃しやすい微細な欠陥も自動で除去され、製品の品質と安全性が安定します。

さらに、人手による目視検査に比べて、誤検出や見落としのリスクを大幅に低減でき、製造現場の品質管理やリスク管理に大きく役立ちます。

異物検知に関するよくある質問

異物検知の装置選定や活用方法については、製造現場で日々多くの疑問が生まれます。装置ごとの特徴や検出精度の違い、新技術であるAIの有効性など、理解しておきたいポイントは多岐にわたります。この章では、現場で特に問い合わせの多い内容を取り上げ、仕組みや選び方をわかりやすく解説します。

金属検出機とX線検査機はどう違う?

金属検出機は、鉄・非鉄・ステンレスなどの金属異物を検出する装置です。電磁誘導や交流磁界の原理を利用して、製品に混入した金属片をリアルタイムで判別できます。

一方、X線検査機は、金属に限らずガラス片、石、プラスチックなど様々な異物や、包装内部の欠陥も検出可能です。密度や形状の差を利用するため、金属以外の異物検知に優れています。

つまり、金属のみなら金属検出機、複数材質の異物や包装内部まで検査したい場合はX線検査機が適しています。

どのくらい小さな異物まで検出できる?

検出可能な異物の大きさは装置の種類や製品、検査条件によって異なります。一般的には、金属検出機では数ミリ程度の金属片を検出可能です。X線検査機は密度差がある異物であれば数ミリ以下の微細な異物も検出できる場合があります。

赤外線検査装置は、製品や包装材の透過・反射の差を利用して異物や欠陥を検出するため、目視では確認しにくい微細な異物や包装内の欠陥も検出可能です。目安としては、粉末や顆粒状の製品で1~2mm程度、板状や樹脂製品では数ミリ程度の異物や欠陥を検出できることが多いです。ただし、材質や厚み、含水率などにより検出精度は変わります。

AI搭載の異物検知では、画像解析により微細な色差や形状の異常も検出可能になるため、従来の装置では見逃されやすかった小さな異常も自動で識別できます。

AI異物検知はどんな場合に向いている?

検出可能な異物の大きさは装置の種類や製品、検査条件によって異なります。一般的には、金属検出機では数ミリ程度の金属片を検出可能です。X線検査機は密度差がある異物であれば数ミリ以下の微細な異物も検出できる場合があります。

さらに、AI搭載の異物検知では画像解析により微細な色差や形状の異常も識別できるため、従来の装置では見逃されやすかった小さな異常も自動で検出できます。

目視検査や従来のルールベース検査では判定が難しい場合や非金属の異物や外観不良もまとめて検査したい場合、多品種少量生産や仕様変更が多いラインで特に有効です。

代表的な「AI異物検知」が向いているケースをまとめると、次のようになります。

  • 目視検査の負荷が高く、見落としや判定のばらつきが問題になっている
  • 毛髪や虫、プラスチック片、変色など、非金属異物・外観不良も検査対象に含めたい
  • 多品種ラインで、品種ごとの検査条件設定やチューニングに時間がかかっている
  • 「何となくおかしい」といった感覚的な判定を、客観的な基準に置き換えたい
  • 検査結果の画像やログを活用して、不良の傾向分析や工程改善にもつなげたい

一方で、「単一製品で金属異物だけを検査したい」といった比較的シンプルな用途であれば、金属検出機など従来方式だけで十分な場合もあります。

現場の課題や製品特性によって最適な構成は変わるため、AIが本当に必要かどうかも含めて専門家に相談しながら検討するのがおすすめです。

まとめ

異物検知は製造業における品質管理や安全性確保に欠かせない重要な工程です。 金属検出機やX線検査機、色彩選別機などの各種異物検知装置を活用することで、検査精度の向上やヒューマンエラーの低減、生産効率の改善が期待できます。さらに、AIを活用した異物検知により、従来の方法では見落としやすかった微細な異物の検出も可能になります。

実際の導入事例からも、多様な業界で安定した品質と効率化が実現されています。異物検知システムの導入は、法規制対応やコスト削減にも直結するため、現場改善の重要な一手となります。

ASTINAでは、AIやIoT技術を活用した異物検知ソリューションの企画・開発・導入・運用保守まで一貫して対応可能です。自社開発の「OKIKAE検査ボックス」をはじめとした最先端装置の導入で、現場の品質管理・効率化を強力にサポートします。異物検知の導入を検討されている方は、ぜひASTINAまでお問い合わせください。

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