IoTを品質管理に活用するメリットは?導入の方法と事例を解説

遠隔

品質管理業務の効率化や精度向上を目的として、IoTを活用する動きが広がっています。当記事をご覧の方の中には、IoTを活用したいけれど具体的な活用法や導入の流れが分からずに検討している方もいるでしょう。

そこで今回は、「品質管理にIoTを導入してできることや導入の流れ」について解説します。品質管理にIoTを活用する際にどう取り組めばいいか悩んでいる方は、参考にしていただけたらと思います。

目次

品質管理業務の課題

品質管理

日本製の製品は厳しい品質管理により、品質に関して世界中で高い評価を得ています。高い品質レベルを確保するためには、優れた技術で良品を生産し、製品ごとのバラつきを低減し、後工程に不良品を流さないことが重要です。

一方で、近年は高い品質を維持するために解決すべき課題が生じています。例えば、熟練の職人から技術が引き継がれずに良品の生産ができない状態に加え、紙での品質管理による工数増加や人による検査での不良品流出などが挙げられます。

品質管理にIoTを活用することによる利点とは?

生産管理

品質管理に関するさまざまな課題は、IoTを活用することで解決できます。IoTの活用にはどのような利点があるのか解説します。

  • 設備状況・技術レベルの可視化による良品生産
  • 詳細データ取得による製品バラつきの低減
  • 検査工程のIoT化による不良品流出の低減

設備状況・技術レベル可視化による良品生産

良品を継続的に生産するためには、設備の状態を正常に保ち続け、高い技術レベルで生産することが重要です。IoTを活用することで、さまざまなデータを取得し可視化することで、従来は気付けなかった設備の不調を速やかに検知し、メンテナンスタイミングを最適化すれば、常に正常な状態での生産が可能です。

また、IoTを活用したデータ化により熟練の職人の技能を可視化すれば、若手に技能を継承しやすくなります。

詳細データ取得による製品バラつきの管理

安定した品質を確保するためには、製品ごとの寸法や抵抗値などのバラつきを低減する必要があります。そのためには、まず現状のバラつきを把握することが重要です。

製品のバラつきを可視化するためには、IoTセンサを用いて製品の情報を取得し、それをクラウドに集約し分析することが効果的です。もし目標の範囲内にバラつきが入っていない場合には、速やかに対策を打てます。

検査工程のIoT化による不良品流出の低減

生産工程全体の中で、検査工程は自動化が難しい工程の一つです。人だけの作業による検査では、どれだけ注意していたとしても不良品の流出をゼロにすることは簡単ではありません。

検査工程をIoT化すれば、IoTセンサで取得した情報を基に、クラウドの分析アルゴリズムで出荷可否の判断を行うことが可能です。IoT技術と人がそれぞれ得意な領域を分担することで、お互いの苦手な範囲を補完でき、検査精度の向上と高い品質の確保を実現できます。

品質管理にIoTを導入する方法

リモートコントロール

自社の品質管理業務を改善するためには、以下のような手順に沿ってIoTを導入するといいでしょう。

  1. 自社における品質管理の課題抽出と優先順位決定
  2. 課題を解決できるIoTシステムの構築
  3. 導入したIoTシステムの効果検証とブラッシュアップ

手順1:自社における品質管理の課題抽出と優先順位決定

まずは、IoTで解決したい品質管理に関する課題の抽出を行います。課題が複数抽出される場合には、同時並行で複数の課題を解決することは難しいため、優先順位を決めることが重要です。

作業の優先順位を決める際には、一般的に小規模に取り組み解決できるものを優先します。しかし、品質管理に適用する場合には、難易度が高かったとしても緊急度・重要度の高い課題を優先的に取り組むべき場合があります。

この判断は担当者には難しいため、品質管理部署の責任者や工場長を含め決定すると後からトラブルにならないでしょう。

手順2:課題を解決できるIoTシステムの構築

解決すべき課題が決まったら、IoTを活用してどのように解決するかを考え、それを実現できるIoTシステムを設計します。IoTシステムの設計をする際には、IoTセンサやクラウド、アルゴリズムの選定などを行う必要があります。

特に、IoTセンサの精度は品質管理部署と細かく調整することで、製品の品質を担保できる精度のセンサを選定しましょう。また、タクトタイムに影響がある場合には、生産管理部署などの巻き込みも必要です。

手順3:導入したIoTシステムの効果検証とブラッシュアップ

導入したIoTシステムを運用することで、解決したかった課題を解決できたかどうか検証することが重要です。

新たにIoTシステムを導入した状態がベストではない場合も多いので、運用しながら常にブラッシュアップを行うといいでしょう。成果が出ている部分に関しては他の工程への展開を進めることで、効果の最大化に繋がります。

特に、品質の確保が最優先になりますので、それがないがしろになっていないことは、確実に複数の関係者で確認し、全体で合意しておきましょう。

品質管理にIoTをうまく活かしている事例

メンテナンス

実際に品質管理にIoTを活用している事例を紹介します。

  • 生産設備の状態変化を早期に捉える予知保全
  • 生産時のデータ蓄積による良品条件の可視化
  • 画像認識を用いた誤品組みつけの防止

生産設備の状態変化を早期に捉える予知保全

製品のバラつきを低減するためには、設備の状態を望ましい状態に保つ必要があります。しかし、従来の予防保全では、設備に明らかな故障が発生しないように定期的に保全を行っており、保全費用が高額になってしまうという課題があります。

保全費用を抑えようとして保全の頻度を減らすと、予防保全が十分に機能せずに、設備の故障に至る頻度が大きくなります。その結果、故障直前に生産した一定数量は正常に生産できているかの確認が必要です。

ある企業では、設備の軸受けに振動センサを取り付け、正常時の振動波形を把握しておくことで、設備が明確に故障をする前の段階での予知保全が可能となります。

生産時のデータ蓄積による良品条件の可視化

少量多品種の生産を行う場合には、段取り替えが多くなります。段取り替えを行う際に、加工条件や設備へのワークの取り付け方を微妙に調整しなければならない場合には、作業者の勘やコツに頼らざるを得ませんでした。

勘やコツを持った一部の作業者しか対応できないため、他の作業者では良品の再現性が低くなります。さらに、細かく生産条件の調整を行うことで時間がかかり、生産効率が悪化していました。

そこで、IoTセンサによりワークの取り付け状態を数値化し、どのような条件で製造すれば良品を再現できるかを蓄積したデータより算出する仕組みを構築しました。その結果、作業者による品質のばらつきが減り、良品の再現性を上げると共に、数値化した目標に合わせた段取り替え時間の短縮により、生産効率の向上を実現できます。

画像認識を用いた誤品組みつけの防止

1つの製品に類似形状のシール材を多く用いる製品の組付け工程において、人間の目では判別が難しく、誤品の組付けが発生するおそれがありました。

組付けをする前に、円形のシール材の周長を画像形式で取得し、それをクラウド上のAIアルゴリズムで画像処理、分析を行うことで、誤品の混入に気付けるような仕組みを構築しました。

まとめ

問い合わせボタン

日本製の製品は品質が高いことが知られていますが、労働力不足の低減や設備の老朽化などにより、高い品質を保つことは難しくなっています。IoTを品質管理に利用することで、作業効率の向上や作業の自動化が促進され、品質の安定化が可能になります。

情報が拡散されやすい世の中では、品質不具合がすぐに広い範囲に伝わってしまうため、信用の失墜に繋がります。IoTを品質管理に活用して、品質の向上や安定化を目指してはいかがでしょうか。

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