IoTデバイスの開発製造をOEMで依頼するメリットと方法を解説

アセットトラッキング

OEM(Original Equipment Manufacturing)によるIoTデバイス開発・製造とは、自社のブランド製品となるIoTデバイスをメーカーに委託して開発・製造してもらうことです。当記事をご覧の方のなかには、OEMによるIoTデバイス開発・製造を検討している方もいるでしょう。

そこで今回は、「OEMでのIoTデバイス開発・製造を行うメリットやOEM開発の流れ」について解説します。また、具体的な事例も合わせて解説するため、参考にしていただけたらと思います。

目次

IoTデバイスをOEMで開発製造するメリット

IoTデバイスをOEMで開発・製造する際の代表的なメリットは以下です。

  • 自社生産に関わる投資を削減できる
  • OEM先企業の製造ノウハウを活用できる
  • 自社での在庫リスクを低減できる

自社生産に関わる投資を削減できる

OEMでは、製造をOEM先の企業に委託するため、自社で生産を行う必要がありません。自社で生産する場合に必要な生産設備の導入や、生産に関わる人材などへの投資が不要です。

自社のリソーセスを製造・生産関連に充てずに投資を削減することで、自社が強みを発揮できる企画や販売に集中させることが可能です。

特に、IoT人材の採用は難しく、大きなコストがかかります。OEMの委託により採用にかかる費用を削減できるのは、大きなメリットとなります。

OEM先企業の製造ノウハウを活用できる

OEMの受託企業は、受託する製品の類似品に関する開発や製造ノウハウを豊富に持っています。

特にIoTなど、歴史が浅くこれまで経験のない製品の開発や製造を行う場合、自社にはノウハウが蓄積されていないため、失敗のリスクが大きくなりますし、自社でそのノウハウを会得するのは困難です。

IoTに知見のあるOEM先に委託すれば、自社にはないノウハウを活用した製品の開発・製造が可能であり、自社で実施するよりも高性能で安価な製品が製造できるでしょう。

また、デバイスを大量生産する場合には、工場選びや、輸送の手配などをする必要があります。その手間を省ける点は大きなメリットです。

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IoTデバイスをOEMで開発製造するデメリット

IoTデバイスをOEMで開発・製造することには、以下のようなデメリットがあります。

  • 自社にOEM委託する範囲のノウハウが育たない
  • 自社による生産の利益が得られない

自社にOEM委託する範囲のノウハウが育たない

自社で開発や製造を行う場合には、その中で課題を解決し、従業員が経験を積むことでノウハウが蓄積していきます。

反対にOEM委託した場合には、依頼する範囲のノウハウが自社に蓄積していきません。途中から自社生産に切り替える場合には、試行錯誤をしながら取り組む必要があります。

このように、OEM委託によって発生するメリット・デメリットはありますが、競争が激しく製造面では差別化が難しいIoTデバイスの開発において、自社製品の特徴を出し、強みを尖らせていくためには、このような割り切りも必要かもしれません。

自社による生産の利益が得られない

製造業の多くは、企画や営業よりも開発や生産により利益を得る場合がほとんどですが、OEMを活用するとその利益は多く得られない可能性があります。

しかし、IoTデバイスの開発では企画やアイデアによって、ニーズの強い業界にアプローチできれば、事業として成り立たせることは可能でしょう。また、顧客に対する保守契約やサブスクリプション契約で十分利益を得られる可能性があります。

初期投資費用は環境が変化する際のリスクを考慮すると、そのリスクを回避する方が重要であるでしょう。

IoTデバイスをOEMで開発・製造する方法

iotデバイス

IoTデバイスをOEMで開発・製造する際には、以下のような流れで進めていきます。

  1. 要望のヒアリングと契約
  2. 製品の開発・試作・評価
  3. 量産の準備と製造・出荷

1.要望のヒアリングと契約

まずは、OEM委託先の企業との要望を説明する打ち合わせを実施し、その中で開発・製造を行ってほしい製品概要や対応分野をしっかりとすり合わせる(要件定義)ことが重要です。スケジュールや業務の分担、費用などの条件を委託側と受託側とで合意できたら、契約を締結します。

2.製品の開発・試作・評価

契約時に合意した条件に基づいて、製品の開発や試作、試作品の評価を進めます。試作品の製造や評価を繰り返し行うことで完成度を高め、要望の製品を創り上げていきます。委託範囲が生産のみで開発が含まれない場合には、この範囲を除外した流れでOEM生産を進めていきます。

3.量産の準備と製造・出荷

試作品の評価が完了し要望通りの状態であれば、量産に向けて生産スペースの確保や生産設備の導入を進めていきます。設備本体以外には、金型や量産用の部品、製造時に利用する治具の準備などが挙げられます。また、為替の変動や物流に関する課題なども、実際に量産を開始する前までに解決すべき重要なポイントです。

このように、試作品が完成したとしても、量産までに実施すべき項目は多岐にわたります。

量産の準備が完了したら実際に製品を製造し、検査を行って出荷します。

OEMによるIoTデバイスの開発事例

最後に、ASTINAがOEMによるIoTデバイスの開発として対応できる製品の例を紹介します。

  • 用途に合わせてセンサや通信機能を組み合わせるIoTデバイス
  • Androidを搭載したIoTエッジデバイス
  • 電源コンセントに直接接続できるBLE-Wi-Fiゲートウェイ

用途に合わせてセンサや通信機能を組み合わせるIoTデバイス

用途に合わせて温湿度や圧力、水位などのセンサやカメラなどと、通信機能を組み合わせたIoTデバイスの開発や生産をOEM委託することが可能です。本製品は、主に屋外での利用を想定しており、OEM委託することで防水、耐候性能に優れたIoTデバイスを短期間に開発できます。

Androidを搭載したIoTエッジデバイス

Android搭載のスマートフォン技術を応用したIoTデバイスは、デバイス内に高い処理能力を有しているため、情報をクラウドに送信する際に前処理を行うIoTエッジデバイスとして活用できます。

アプリ開発や外部デバイスとの連携など、機能拡張が容易であり、オプションで大容量バッテリーを搭載可能です。さらに、防水性能に優れているため、場所や対象物を選ばずに幅広い用途で利用できます。

電源コンセントに直接接続できるBLE-Wi-Fiゲートウェイ

電源コンセントに直接接続でき、BLE(Bluetooth Low Energy)ビーコンとの通信を行うWi-FiゲートウェイはOEMにより開発・生産されました。コンセントに接続できるコンパクトな形状でありながら、ビーコンのデータやビーコンに組み込まれたIoTセンサデータをクラウドに集約可能です。

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まとめ

OEMによるIoTデバイスの開発・製造を行うことで、本来は投資が必要だった設備のコストや自社のリソーセスを削減し、競争力が必要な企画や営業に集中させることができます。

一方で、自社でのノウハウ蓄積が進まない可能性がある点には注意が必要です。また、製造以外で利益を創出できるポイントを見極め、企画やユーザーペインの解決によって、利益に繋げるように検討を進めることも重要です。

既にIoTデバイスのOEM開発・製造は広がっており、その流れは今後も広がっていくでしょう。

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