加速度センサとは?活用方法やその実例、種類などを分かりやすく解説

加速度センサ
目次

加速度センサとは?

メーター

加速度センサは、物体にかかる加速度を検出するものです。

加速度とは、物体の速度の変化によって生じるものです。そのため制止している物体や、同じ速度で移動している物体には加速度は生じません。しかし、物体が加速していたり減速したりしているときや、運動の方向が変わった際には加速度が生じます。

加速度を実感しやすいのは、自動車や電車に乗っているときです。車が加速しているときには後ろに押しつけられたり、減速時に前に投げ出されるように感じたり、急なカーブで外側に投げ出されるように感じます。これが加速度です。加速度センサは、このような「動きの変化」を検出します。

重力も加速度として処理される

加速度センサで検知できるものの一つに、重力があります。地上にある物体は全て、地面に向かって引っ張られていますが、この力も加速度として処理されるからです。

たとえば身体を左に傾けると、それまでは身体の真下に向かっていた重力加速度の向きが変化し、左下に向かって引っ張られるようになります。このような仕組みを利用し、加速度センサで傾きも検知できるのです。

加速度センサで検出できるもの

道具

加速度センサは、ただ加速度を検出するだけではありません。加速度の変化を検知することで、さまざまなものを検出するために使われています。代表的なものをいくつか紹介します。

検出できるもの
  • 振動
  • 重力
  • 衝撃

振動

振動とは、物体がある一定の範囲の中で細かい往復運動を繰り返すものです。加速度センサは、動きの変化を検知するため、振動の検出にも活用できます。また振動だけでなく、物体の動きや落下の検出にも活用されます。

加速度センサで振動を検出することを応用し、振動センサや地震計、人の有無や機械の異常検知などにも活用されます。

重力

加速度センサでは重力の検出もできます。これを利用し、機械の傾き検出や、スマートフォンの縦横検出などに活用できます。

衝撃

衝撃とは、急激な加速度の変化です。そのため加速度センサを用いれば、衝撃を検出可能です。加速度センサを利用し、機器にかかった衝撃力を検出したり、衝突実験装置のような試験装置を作ったりできます。

加速度センサ活用の事例

自動車メーター

加速度センサを応用すれば、さまざまなものが検出できます。そのため加速度センサは、工業的な場面や私たちの日常など、多くの場面で活用されています。

事例1:自動車

自動車にも多くの加速度センサが利用されています。たとえばエアバッグでは、車にかかった衝撃の大きさや向きを検知して作動します。

ほかにもブレーキによる減速の度合いを検知してABS(Anti-lock Brake System)の作動を判断する目安や、坂道における車の動きを検知することによるカーナビの位置情報の補正などに活用されます。

事例2:機械や設備の予兆検知

加速度センサで機械の振動を検知し、機械や設備の故障予兆検知に活用されています。製造現場などでは古くから、異音や異常な振動は機械の不調の予兆として知られています。

そのため、加速度センサで機械の振動をモニタリングし、その結果をネットワークを通じてAIで判定し、故障につながりそうな振動を察知しているケースもあります。加速度センサとIoTの活用により、さまざまな新しい可能性が生まれています。

事例3:安全管理

橋梁や道路などの社会インフラの劣化診断でも、加速度センサが利用されています。機械や設備の故障を予知するのと同じように、加速度センサを用いて橋梁や道路の振動をモニタリングし、劣化状況を確認します。

IoTと併せて活用することで、現地まで検査に行かなくても状況が把握できるようにするなど、今後さらに需要が伸びていくと考えられる事例です。

事例4:自動運転

近年、実用化が進んでいる自動車やドローンなどの自動運転でも、加速度センサが使われています。機体の姿勢や、機体の動きを把握して安定した飛行を実現するためには、加速度センサは欠かせないものになっています。

加速度センサの種類

Iot

加速度センサには、高G加速度センサと低G加速度センサがあります。高G加速度センサは、大きな加速度を検出するためのものであり、エアバックを作動させるきっかけになるような、大きな「衝撃」の検出に向いています。
一方で、傾きや微細な振動の検出に向いているのは低G加速度センサです。

高G加速度センサでは、微細な加速度の変化を検出するのは困難です。また同様に、低G加速度センサでは事故の衝撃のような大きな加速度は、検出限界を超えているため検出できません。そのため、目的に合わせて使い分けられています。
低G加速度センサにはいくつかの種類があります。ここからは、その中でも主な4つを紹介します。

周波数変化型

センサ素子の共振周波数の変化で加速度を検出するセンサです。主に、構造物の振動モニタリングや地震計などに使われます。

静電容量型

低G加速度センサの中でも、さらに低加速度の計測に適しているセンサです。温度特性に優れており、周囲の温度の変化による影響を受けにくいのが特徴です。自動車の傾きの検知など、車体制御などに採用されています。

ピエゾ抵抗型

ピエゾ素子を利用した加速度センサです。加速度センサの中では構造が単純で低コストなのが特徴です。そのため、私たちが日常的に使用するゲームや携帯機器といった製品に活用されているケースが多いです。

熱検知型

ヒーターと熱検知器を使用し、加速度の変化によって中に封入されたガスが移動するのを検知する加速度センサです。衝撃に強いのが特徴ですが、測定可能な周波数が少なめなため、振動を検出する際には注意が必要です。

加速度センサとジャイロセンサの違い

センサー

加速度センサと似た使われ方をするセンサとして、ジャイロセンサが挙げられます。加速度センサが物体に生じている直線加速度を測定するセンサであるのに対し、ジャイロセンサは、物体の回転する速度を測るセンサです。

どちらも物体の傾きや姿勢の検出は可能ですが、衝撃や振動の検出には加速度センサのほうが適しています。

まとめ

加速度センサとは、物体の運動の変化によって発生する加速度を検知するためのセンサです。加速度の連続的な変化を検知することで、振動が検出できます。また、重力を加速度として検知することで、物体の傾きを検出できます。さらに急激な加速度の変化を検知することで、衝撃の検出ができます。

加速度センサは、自動車などの運送機器の制御や機械設備、インフラ設備の安全管理、自動運転などに活用されています。加速度センサには高G加速度センサと低G加速度センサがあり、高Gセンサは衝撃など強い加速度の変化の検出に使われます。その他の振動や機械の姿勢などの検出には低Gセンサが利用されます。

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