IoTの活用でトレーサビリティの実現を。事例やメリットなどの基礎知識を分かりやすく解説

物流
目次

トレーサビリティの実現にIoTを活用する

追跡

トレーサビリティを実現するためには、対象となるモノが、いつどこで何をして、どんなルートを移動したのかなど、多くの情報を収集し蓄積しなければいけません。この情報を収集したり蓄積したりする方法として、IoTが活用できるのです。

トレーサビリティとは

トレーサビリティとは、英語の「Trace(追跡)」と「Ability(能力)」の2つを組み合わせて作られた言葉です。これを日本語にすると「追跡可能な状態であること」という意味になります。製造業においては、原材料の生産地やロット、加工の工程や検査工程、出荷された荷物について追跡記録を残したり、追跡可能な状態にしたりすることを意味します。

2つのトレーサビリティ

トレーサビリティは、追跡できる範囲によって次の2つに分類されます。

内部トレーサビリティ

内部トレーサビリティとは、追跡できる範囲が単一の企業やメーカーに限定されるトレーサビリティです。他の企業で作られた部品の情報などは追えません。

チェーントレーサビリティ

チェーントレーサビリティは、追跡できる範囲が複数の企業やメーカーにも及ぶトレーサビリティです。製品の情報を得たいときに、組み立て会社だけでなく、そこに協力している部品の製造会社や塗装メーカーなどの情報も取得できるようなケースです。

IoTでトレーサビリティを実現した事例

ピッキングロボット

IoTを活用したトレーサビリティは、工場や施設などで既に盛んに活用されています。

不具合の原因究明

内部トレーサビリティは、不具合の原因解明に活用できます。

例えば、工場内で原因不明の不具合が発生した場合、従来であれば、製品の加工や組立の各過程をひとつずつ手作業でチェックしなければいけませんでした。

しかしIoTを活用すれば、ワーク(またはワークが入ったケース・パレット)にIDを割り振り、ワークを加工したり、または組み立てたりした加工機から、加工時のデータ、画像診断の検査結果と検査時の画像などをクラウドサーバに送ることで、一括して確認できます。
そのため、原因解明に必要な情報が集めやすくなり、素早く効果的な対策が行えるようになります。

製品の使用先の把握

薬品や食品など、生産時の事故が発覚したら使用先に即座に告知する必要のある製品では、チェーントレーサビリティが活用されています。

生産された製品に、バーコードやタグなどをつけ、発送時や荷受け時、使用する際など、チェックポイントでバーコードやタグを読み込みます。これにより、製品の生産時の情報と併せて、その製品がどこに出荷され、今どこにあるかが記録できます。

これにより、万が一のときには、即座にそれらの情報が照会できるようになり、すぐに対応できるようになります。製品の不具合発生時以外に、医薬品や半導体チップの偽物の流通を防ぐことにも役立ちます。

IoTを活用したトレーサビリティ確保のメリット

物流

トレーサビリティを確保するためには、多くの情報を記録し、蓄積しなければいけません。手作業で行う場合には、業務の負担が大きくなりがちで、そのうえ記載ミスなどの発生によりトレーサビリティの信頼性が揺らいでしまう恐れがあります。IoTを活用すれば、比較的少ない作業コストでトレーサビリティを実現できるのが大きなメリットです。

IoTを活用したトレーサビリティ確保には、他にも次のようなメリットがあります。

リスク管理体制の強化

トレーサビリティを確保するためには、作業手順や標準などを正しく定め、それを確実に実行できる体制を作らなくてはいけません。作業手順などを決めれば、そもそも事故が起こりにくい体制を作り上げることができます。さらに万が一の場合にも、情報を素早く確認でき、リカバリーが確実に行えるようになります。

信頼度の向上

生産時の情報や原材料に関する情報が照会できるようになり、顧客からの信頼度が上がるのもトレーサビリティ確保の大きなメリットの一つです。特にIoTを活用していれば、顧客がWebサイトなどから自身で情報照会できるようなシステムにも連携しやすく、顧客満足度の向上につながります。

IoTによるトレーサビリティ実現までの手順

工場

IoTによるトレーサビリティを実現するために必要なことは、次の2つのポイントです。

チェックポイントでの情報読み込み

まずは材料や作業者、加工ルートなど、全てを情報化し、それらをそれぞれのチェックポイントで読み込めるようにする仕組みが必要です。作業員に手入力させる方法もありますが、RFIDやバーコードを利用したり、画像認識を利用するなど、IoTを活用すればさまざまな方法が選択できるようになります。

何がどこにあるかを把握する

トレーサビリティ実現において大切なのは、位置情報です。具体的な位置情報も活用されますが、上記のようなチェックポイントでの読み込みにより、チェックポイント間のどこにあるかも重要な情報になります。

IoTを利用したトレーサビリティの確保のためには、センサなどで位置情報を取得できる準備が必要です。

IoTによるトレーサビリティ実現に関する課題

データ収集

IoTによるトレーサビリティの確保にはたくさんのメリットがありますが、実現のためには課題もあります。

高度なIoT環境が必要

これまでも述べてきたように、IoTを活用したトレーサビリティの実現のためには、非常に多くの情報を収集し、蓄積しなければいけません。要所要所で情報を取得するシステムや、それを保管し照会できるシステムなど、高度なIoT環境が必要になります。

関連業者などにも共通のルールや仕組みを導入する必要がある

特にチェーントレーサビリティを実現する場合には、関連業者の協力も欠かせません。情報の入力、蓄積など、共通のルールや仕組み、システムを導入してもらう必要があります。

効率のいいデータ収集方法を検証する必要がある

トレーサビリティ実現のためには、多くの情報を収集しなければいけません。情報収集の方法や仕組みをしっかりと考え、効率よく収集できるようにしなければ、業務やデータが煩雑になってしまいます。センサなどを導入する前に、ライン全体を見直し、どこでどのデータを収集するか、ていねいに検証する必要があります。

まとめ

トレーサビリティとは追跡可能な状態であることを意味します。これを実現するためにIoTが活用できます。

トレーサビリティを確保することで、不具合の原因解明ができたり、製品の使用先が分かったりします。また信頼性の向上やリスク管理体制の強化といったメリットもあります。IoTを活用したトレーサビリティの確保のためには、要所要所での情報の読み込みの仕組みや、対象となるモノの位置情報の取得、データを蓄積するシステムなどが必要です。さらに高度なIoT環境や、関連業者へのルールの周知なども欠かせません。

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