IoT機器のハードウェア開発において参考になる事例や手順、注意点などを紹介

IoTの開発をしている様子・プログラミングのイメージ

IoTは、モノとネットワークがつながることをいいます。IoTにおいては、ネットワークの構築やネットワークと接続するモノの設計など、さまざまな開発業務が必要になります。この記事では、IoT機器におけるハードウェア開発について、特徴や事例、開発の流れなどについて解説します。 

目次

IoT機器のハードウェア開発とは

ハードウェア

製造業の現場や事業所に特化したIoT機器を導入しようとしたり、新たな機器をIoTに接続したりしようとする際、ネットワークやシステムだけでなくハードウェアの開発も欠かせません。

IoT機器ならではのハードウェア開発の特徴

IoT機器のハードウェア開発には、他のハードウェア開発と比較すると、次のような特徴があります。

ネットワークに接続する必要がある

IoT機器のハードウェア開発における最大の特徴は、ネットワークに接続する必要がある点です。そのため、通信ポートやアンテナが欠かせません。通信規格や各種認証に適合する設計が必要になります。

また、特に製造業の現場では多くの機器が同時に動いたり、電磁ノイズが発生する機器の近くで使用したりするケースも少なくありません。そのため、そのような環境下でも安定した通信を確立できるように、ノイズ対策や通信方式の検討が必要です。

小ロット生産が多い

製造業や事業所で使われるIoT機器は、BtoCの汎用品などとは異なり、現場ごとのカスタマイズ品や小ロット生産が多いことが特徴です。似たような構成であっても、使用する現場ごとのハードウェア開発が求められるケースが少なくありません。

IoT機器のハードウェア開発の事例

システム開発

実際にIoT機器のハードウェア開発が行われた事例をいくつか紹介します。

仕分け棚

工場でネジやワッシャーなどの小部品を保管する仕分け棚をIoT化した事例です。部品を棚に保管する際に、納品物が入っていた通い箱に貼り付けたバーコードを、棚に接続されたバーコードリーダーで読み込みます。すると、対応する引き出しだけロックが解除されるという仕組みです。この仕組みは、保管場所の間違いによる部品混入を防いだり、在庫数の可視化のために導入されました。

このケースにおけるハードウェア開発では、棚をロックしたり、それを解除したりする制御機構が開発されました。

工作機械の稼働状況を収集するセンサ

工作機械の稼働状況をIoTによって収集しようとしたケースです。このケースでは、工場にある工作機械の年式やメーカーがバラバラであったため、PLCや内部の回路から稼働状況を収集するのが困難でした。そこでシグナルタワーに光センサを取り付けて、どの色のランプが点灯しているかを検知して、その情報を集めることにしました。

このケースにおいては、光センサの形状や取り付け部位、コードの取り回しなどのハードウェア開発が行われました。

油漏れ検知装置

機械や設備が古くなってきたり、油路に異物が詰まったりすると、油漏れが発生する場合もあります。漏れた油は、床を汚す、付近を通行する搬送車や人が滑って労災を発生させるなど、さまざまなトラブルの原因になり得ます。そのような場合、油漏れによるトラブルを防止するために油漏れ検知機を使用するケースがあります。

従来は油漏れが発生している場所や装置で警告を出すために使われていましたが、油漏れの発見を早めたり、問題のある場所を可視化したりする目的で、油漏れ検知器に通信機能をつけることになりました。このケースでは、従来から使われてきた油漏れセンサに接続して、Wi-FiやBluetoothで測定結果を送信するボックスの開発が行われました。

IoTハードウェア開発・製造に必要なメンバー

設計

IoT用のハードウェア開発や、実際に製造にあたるために必要なスキルを持ったメンバーとして、次のようなメンバーが挙げられます。

筐体や機械的な部分の設計者

ハードウェア開発の中でも、特にメカ部分を設計する設計者です。このようなメンバーがいれば、機器の構造や形状などの設計が可能になります。

回路、基板の設計者

IoT機器では、通信ポートを設けたり、通信用のチップを搭載させたりするなどの設計が必要になります。そのため、それらの対応が可能な回路や基板の設計者も必要になります。

ソフトウエアの知識を持ったメンバー

製造されたIoT機器は、ハードウェアだけでは動きません。その中で動くソフトウェアが必要です。指定されたネットワークに対し、機器が指定された形で情報をやりとりできるようにするためには、ソフトウェアの知識を持っているメンバーも必要です。

製造、量産の知識を持ったメンバー

開発した機器を実際に作るには、製造や量産の知識も必要になります。そのため、製造や量産に対する知識を持ったメンバーもいると、よりスムーズに開発が行えます。

IoT機器は使用される現場や環境、目的によってさまざまな形状や用件があるため、必ずしも全てのメンバーが必要というわけではありません。また同様に、どのような案件においても、このメンバーがそろっていれば常に十分という意味でもありません。状況に応じて、必要なメンバーを招集するようにしましょう。

ハードウェア受託開発の流れ

設計

一般的に、ハードウェアの開発はソフトウェアの開発と並行して行う必要があります。どちらかだけが先にできていても、正確な検証が進められないからです。状況や企業によって開発の流れは異なりますが、概ね次の通りに進んでいきます。

構想

構想の段階では次のようなことを検証します。

  • 何をどうやってIoT化するのか
  • どんなデータをどのように集めるのか

IoTの導入にあたっては、目的や解決したい課題解決への仮説が必要です。ハードウェア開発においても同様に、まずはしっかりとした構想を用意しましょう。

設計

ハードウェアの開発においては、次のような項目について検証していきます。

  • 求める機能を満たす形状
  • 必要なセンサの配置

またこのときに、ハードウェアの設計と併せてソフトウェアの設計も行っていきます。

試作とフィードバック

設計が終わったら、続いては試作を行います。このとき、ソフトウェアも試作して仮実装し、検証を行います。

試作された機器を実際に使ってみたり、さまざまな使用条件や耐久性に対する評価を行ったりして、その結果を設計にフィードバックします。

生産

生産ラインを組み、生産します。生産ラインで出た問題も設計にフィードバックし、必要があれば改善していきます。

メンテナンス

開発が終わった後も、可動部の部品の寿命を考慮した部品交換や、動作チェックなどを定期的に行います。

IoTハードウェア開発・製造請負において大切なこと

ハードウェア開発

IoTハードウェアの開発や製造を請け負う場合には、次のような点に注意しましょう。

状況をていねいにヒアリングする

多くの場合、ある程度の構想はお客様側で作っていると思われます。しかしお客様が想定しているデータの取り方よりも、いい方法がある場合もあります。また、実使用を考えた場合には、お客様がまだ気付いていない問題点がある場合もあります。

そのような問題点を見つけるためにも、状況をていねいにヒアリングし、お客様の困りごとや課題、状況を正しく理解するようにしましょう。よりよい姿を提案できれば、お客様の満足度も上がります。

お客様の「苦手」をフォローする

開発を委託するお客様の「苦手」はさまざまです。「アイデアを出すのは得意だが実設計レベルに落とし込むのが苦手」、「筐体設計はできるが電気設計はできない」など、さまざまな状況やニーズが存在します。お客様に合わせた柔軟なサービスを提供することで、より喜んでもらえるでしょう。

まとめ

IoTを導入する際には、ハードウェアの開発も必要です。IoT機器のハードウェア開発においては、ネットワークに接続するポートを設けたり、通信の安定性を図る設計にしたりする必要があります。IoT用のハードウェア開発では、機械的な部分の設計者や電気、基板の設計者、ソフトウェアや製造に関するメンバーがいると、開発がスムーズに行いやすくなるでしょう。ハードウェア開発は一般的に、構想、設計、試作、生産、メンテナンスの順番で進んでいきます。

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