倉庫業務はIoT活用で効率化が期待できる|事例やそのメリットを紹介

倉庫システム

IoTの活用方法として注目を浴びているものの一つが、倉庫業務でのIoT活用です。倉庫DXというキーワードで語られることもあります。本記事では倉庫業務におけるIoTについて事例やメリットなどを解説していきます。

目次

倉庫業務におけるIoT活用とは

倉庫

倉庫業務においてIoTは、在庫の可視化やシステムの導入など、さまざまな方法で利用されています。特に近年は「倉庫DX」というキーワードが注目を集めていますが、これは倉庫業務にIoTを導入することでもあります。

倉庫業務における2つのIoT活用方法

倉庫業務におけるIoTの活用は非常に幅が広く、目的や用途によってさまざまな方法が用いられています。しかしそれらの用法は、大きく分けて2つあります。

倉庫や物流向けのシステムと併せたIoT活用

倉庫業務におけるIoT活用の一つ目が、倉庫や物流向けのシステムを導入する方法です。現在、倉庫業務や物流の現場を管理するためのさまざまなシステムが存在しています。これらのシステムに合わせる形でIoTを導入することで、システムの強みをさらに引き出し、よりよい倉庫管理が可能になります。

倉庫におけるモノや人の動きを改善するためのIoT活用

倉庫業務におけるIoT活用のもう一つの方法が、倉庫におけるモノや人の動きを改善するためのIoT活用です。倉庫の中を管理するためのシステムとは別に、現在の倉庫の「動き」を可視化し、改善するためにIoTを利用する方法があります。

倉庫や物流向けのシステムとIoT

物流

倉庫や物流向けのシステムにはさまざまなものがありますが、なかでも代表的なのが次のようなシステムです。

輸配送管理システム TMS:Transport Management System

配車、配送計画、進捗管理、運賃計算などを一括で管理するシステムです。IoTでは、トラックの位置情報を収集したり、重量センサで荷物の重量の情報を収集したりします。

倉庫管理システム WMS:Warehouse Management System

倉庫における商品の入庫や出荷管理、在庫管理など、モノの管理を効率化するためのシステムです。IoTでは、入庫数や出庫数、保管場所の情報などをセンサで収集します。

倉庫制御システム WCS:Warehouse Control System

コンベアや搬送機など、倉庫の中にある設備をまとめて制御するシステムです。IoTでは設備の位置や状態を把握したり、設備を遠隔操作したりできます。

倉庫運用システム WES:Warehouse Execution System

倉庫内の設備を制御したり、倉庫内で働く従業員に指示を出したり、人や設備、モノを制御するシステムです。IoTでは、従業員への指示を端末で行ったり、設備の遠隔制御を行ったりします。

このようなシステムとは少し目的が異なりますが、倉庫や物流の現場で使われることが多いシステムとして、トレーサビリティシステムもあります。

それぞれ少しずつ目的や行えることが異なりますが、これらのシステムに共通するのは、要所要所でモノの動きや在庫数、入庫や出庫などを「入力」しなければならない点です。入力が正しく行われないと、せっかく導入したシステムが形骸化してしまい、本来の力を発揮できなくなってしまいます。

しかしIoTを活用すれば、システムの活用に不可欠な「入力」を自動化できます。IoTを倉庫や物流向けのシステムと一緒に導入することで、これらのシステム導入のメリットをより大きくできるのです。

入力を自動化する方法

倉庫や物流向けのシステムにおける入力を自動化するためには、モノの位置や数、設備の状態などを把握できるようにする必要があります。そこで次のようなものをネットワークに接続し、入力が自動化できるようにします。

RFID

荷物の内容に関する情報や、荷物がゲートを通過したことなどを自動で読み取るために使われます。

バーコード(QRコード)リーダー

RFIDと同様に、荷物の情報やゲートの通過などをチェックできます。作業員が手動でリーダーを使ってバーコードを読み込む方法や、コンベアで流れている荷物を自動で読み込む方法があります。

画像認識AI

荷物の種類や数、作業員の動き、設備の状態などさまざまなものの自動入力に活用できます。しかし全てを画像認識で行おうとすると、認識システムを構築するのにコストがかかる恐れがあります。

温度・重量の計測装置

温度や重量、モノの有無を検知するセンサなどのさまざまな計測装置も、システムへの入力に役立ちます。荷物がゲートを通過したことを検知したり、設備の稼働状況を自動で検知したりできます。

倉庫におけるモノや人の動きを改善するためのIoT活用

アセットトラッキング

倉庫におけるモノや人の動きを改善するためのIoT活用には、大きく分けて2種類あります。一つは人やモノの動きを可視化する方法で、もう一つはモノの動きを自動化する方法です。

人やモノの動きを可視化する方法

モノや人の動きを改善するためには、まず現在の状況を正しく把握する必要があります。そこで、人やモノの動きを可視化するためにIoTが活用できます。

例えば人に位置センサを付けて人の歩くルートを可視化したり、在庫の量やモノの移動ルートなどを可視化したりすることにより、改善すべき点や改善方法が見つかりやすくなります。これにより、ピッキング作業員の動きのムダや出庫作業のボトルネックを発見したり、倉庫内のレイアウトなどを改善したりできます。

モノの動きを可視化する方法は、倉庫や物流向けのシステムで入力を自動化する方法で紹介したものとほぼ同じです。

モノの動きを自動化する方法

モノの動きを自動化するためには、次のような物流ロボットを導入して業務改善を行います。

AGV(無人搬送ロボット)

AGVは磁気テープなどのマーカーで指定したルートを走行して商品を運搬するロボットです。AGVの監視やコントロールにIoTを活用できます。

AMR(自律走行搬送ロボット)

AMRは磁気テープなどのマーカーが必要なく、AIによって判断された最適なルートを自動走行するロボットです。稼働状況や位置の監視の他、ルートの選択や指示をIoTによって伝えます。

倉庫や物流現場におけるIoT活用事例

物流

倉庫や物流現場におけるIoTの活用事例をシステムと併せて活用する場合と、人やモノの動きを可視化して改善する場合、モノの動きを自動化する場合のそれぞれに分けて紹介します。

倉庫や物流向けのシステムと併せて活用した事例

倉庫管理システムと併用した事例では、在庫を保管している棚のところにバーコードリーダーを設置しました。作業員は商品を棚に出し入れする際に、バーコードリーダーで商品情報を取得し、入庫や出庫を記録します。商品を1つずつ読み取らせることで、在庫の数や保管場所、出入りの記録をシステム上に残せるようになりました。

人やモノの動きを可視化して改善した事例

人やモノの動きを可視化して改善した事例では、ピッキング作業を行う人の倉庫内での動きを、位置情報センサを用いて可視化しました。これによりピッキングのために倉庫内を歩くルートの無駄が発見され、倉庫レイアウトの最適化が行われました。

モノの動きを自動化して改善した事例

従来、人が台車を押しながら歩いてピッキングを行っていた現場で、台車の動きを自動化したケースがあります。自動搬送車に取り付けられたカメラに伝票を読み込ませると、搬送すべき荷物がある棚の前まで、自動搬送車が自動で移動します。棚の前にいる作業者が搬送車のモニタに表示された必要個数を搬送車に乗せることで、人は棚の前に待機して入庫や出庫の作業だけを行えば済むようになり、作業の負荷が大きく軽減しました。

倉庫業務にIoTを活用するメリット

ピッキングロボット

倉庫業務にIoTを活用する方法は、システムにIoTを併用する方法と、人やモノの動きの改善のためにIoTを活用する方法がありました。しかし、やり方は違うものの、IoT活用によって得られるメリットは同じです。倉庫業務にIoTを活用するメリットには次のようなものがあります。

  • 人の作業量が減る
  • 倉庫の中にあるモノの動きが可視化される
  • 業務改善が行いやすくなる
  • ミスがなくなる

労働人口の減少により、倉庫業務の現場でも人材の確保が難しくなっています。IoTを活用することで、作業者の負荷を減らしていくのが今後の課題の一つになっていくでしょう。

まとめ

倉庫業務におけるIoT活用には、倉庫や物流向けのシステムと併せたIoT活用とモノや人の動きを改善するためのIoT活用の2種類があります。倉庫業務においてよく使われるシステムにはTMS(輸配送管理システム)、WMS(倉庫管理システム)、WCS(倉庫制御システム)、WES(倉庫運用システム)などがありますが、IoTの活用により、これらのシステムへの入力作業が自動化できます。モノや人の動きを改善する際には、人やモノの動きを可視化したり、モノの動きを自動化したりします。

問い合わせボタン
この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次